どちらかの仕事が終わると、俺とメローネは必ずと言っていいほど毎回、セックスをする。
キスをして、相手が反応を返すと組み敷いた。
舐めるように互いの身体をまさぐり、相手が高まるのをみて自分も興奮するような、幼いセックスを繰り返した。




野良猫が不意にこちらを振り向くように、メローネは俺とセックスをした。
メローネの家以外でなら、どこででも、した。
カビ臭い路地裏、波止場に停めた車の中、ボロボロでシーツみたいに壁の薄いホテル。
昨夜は俺のベッドで、そして今、その同じベッドで俺は、プロシュートを抱いている。




「おい、集中しろよ。この俺相手に失礼もいいとこだぜ。」


ネコ科の瞳を光らせて、プロシュートはにやりと笑った。
俺はクソみてぇにしけた顔をしているに違いなかった。
こいつは煙草を吸うようにセックスをすること、俺は知っている。


プロシュートは、媚びるような孤高の眼差しで、いつも俺を射すくめる。
奴の媚態は美しく、節操が無いという下品さで、しかし誰の侵入をも拒む気品があった。
それはいつも俺をイライラさせる。
それに溺れている自分にも、イライラする。


俺は舌打ちをすると、奴の身体を半分覆い隠していたシーツを剥いだ。
プロシュートは微笑を浮かべたまま起き上がり、俺たちは向かい合わせに求め合った。




抱き合った肩越しに、窓から空が見えた。
星々は語りかけるように瞬き、薄い光で、紺色の天幕を照らし出している。
昨夜も同じアングルから、空を見ていた。
しかしあの時と今では、俺がしているのは全く別のことだった。


「なあ」


上がった吐息で、プロシュートが話しかける。
その薄笑いをひっこめろ、クソ野郎。


「星が綺麗だろう」


窓が見えていないはずのプロシュートがそう言う。
俺はたまらなくなって、プロシュートを押し倒し、肩に噛み付いた。
泣き出してしまいそうだったから、一心不乱に目の前の身体に没頭した。




昨夜の空は絶望のように暗く、星はおろか月すら見えなかった。
俺はメローネの肩越しにその空を見ていた。
俺たちはキスをして、そうしたらメローネは小さな声で呟いたのだった。




目の前の身体をただ貪る。
プロシュートは目を閉じて笑いながら、熱い息を吐く。
何故、今夜は星が輝いているのだろう。
何故、昨夜ではなく、今夜。


プロシュートの喘ぐ声の合間に、昨夜のメローネを思い出していた。
寂しさを孕んだその言葉を聞きたくなくて、俺はメローネの口を塞いだんだ。


















「今夜は星が見えないね。」





















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